MEMENTO MORI AT CARPE DIEM

ποιέω καί ἑρμηνεύω

Kundryの独白

Wagner 最後の楽劇 Parsifal に登場する唯一の女性キャスト、Kundry 。伝説によるとかつてイエスを嘲笑したとして死ぬ事を許されない天罰を受ける。

時に Amfortas のために アラビアまで薬草を探すと思えば,Klingsor の魔法で騎士を誘惑し堕落させる悪女。
Ich bin müde. (疲れたわ)が Kundry のキーワードだという。脚本を読めばこの不死の Kundry の言動が現代社会に通じる何かを反映しているようにも読める。平易な台詞として和訳してみた。

Kenntest du den Fluch,
der mich durch Schlaf und Wachen, durch Tod und Leben,
Pein und Lachen,
zu neuem Leiden neu gestählt,
endlos durch das Dasein quält!
Da lach' ich - lache -
Kann nicht weinen, nur schreien, wüten, toben, rasen.

これは天罰なのよ。
寝ても覚めても,生きてても死んでも,
心痛くても笑顔でいても
新たな苦しみが次々と私を鍛えて平気にさせるの。
終わりなく,私がいる限り,苦しみが生まれるの。
だから,笑うのよ,ハハハ…
涙なんか流せない,叫んで,怒って,暴れて,ただ荒れるだけ。

魔性の女であり、時に聖女のように献身する Kundry は魅力的なキャラクターである。アンパンマンロールパンナちゃんも似ている。救われる事を夢見ながらもそれは叶わぬ事と自暴自棄になる。しかし悪をなすと自戒が襲って苦しみのうちに誠をなそうと献身する。その繰り返しで生き続ける辛さ。Ich bin müde.「疲れたわ」はこのタイプの人間が抱える恒常的精神状況だろう。現代人なら自殺しようとしても死ねないタイプだ。

さて、Kundry を救う手立てはないのだろうか?