森は騒めいて
夜の登張が忍び寄る
しあわせな木々は耳を澄まし
互いにそっと撫で合う。
ごらん小枝の下を
そこに私はお前と佇む
そこの私、私そのものは
ただただおまえのものだ。
Richard Strauss の歌曲のテクストにもなった Richard Dehmel の詩、Waldseligkeitを訳してみました。
原文は以下の通り。この詩は全体が弱強格(Jambus)になっています。大体4歩格(Tetrameter)ですね。
互いに愛撫しあう Bäumen (木々)とは擬人化しているのでしょう。mein と Dein が交錯するのは Tristan und Isolde にもみられる激しい情愛の描写です。他者として認識しつつ自分と同化させる行為こそが情愛だと考えられるでしょう?
Der Wald beginnt zu rauschen,
Den Bäumen naht die Nacht,
Als ob sie selig lauschen,
Berühren sie sich sacht.
Und unter ihren Zweigen,
Da bin ich ganz allein,
Da bin ich ganz mein eigen:
Ganz nur Dein!
aus Richard Dehmel „Erlösungen“ (1891)
この情愛を口語で意訳すればこんな詩になるでしょう。とっても妖艶です。
森がザワザワし始めて、
木々たちに艶やかな夜が近寄ってきた。
恋人の囁きに耳を澄ますように
求め合う悦びが互いを愛撫する。
小枝の下をごらんなさい
そこにあなたと二人っきり
そこで私という自分は
ただただあなたのものになるの。